田口朋子「父との夏」後日談
公演が終わって数日経ち、本番が遠い過去のようにすっかり現実に戻ってしまった田口朋子です。
今回は5年前にご好評いただいた「父との夏」の再演ということで、かなりのプレッシャーがありました。今思うと、5年前の自分の中のちょっとした悔いみたいなものが、時間の経過とともに少しずつ形を変えながら、どんどん大きくなっていたように思います。なので、今回の稽古が始まった時は、それをどう克服するかばかりを考えてしまい、共演者の皆さんにもご迷惑をおかけしてしまいました。
そんな自分がどう進んだらいいか迷っていた稽古終盤に考えて出た答えは、きちんと自分の役割を全うしようでした。大病を乗り越えた三田村さんが、どんな思いでこの公演をやろうとしているのか、自分がそれを台無しにしてはいけないと気づきました。作・演出のいさをさん、他の共演者の皆さん、全力でこの公演を支えようとしている制作上田さんの気持ちを思うと、自分のこだわりなんて小さなことに思え、皆さんの思いに応えたいと心から思いました。
そして迎えた本番はとにかく楽しかった!
毎日おにぎりを作って、枝豆茹でて、本番中に色々なアクシデントもありましたが、その場で会話していると実感できる瞬間がたくさんあり、本当の家族と過ごしているような、心地よい時間でした。本番中の皆さんのキラキラした顔が忘れられません。
お客様からも前回より断然よかった!というお言葉をたくさんいただき、結果的に5年前にできなかった個人的な悔いを解消する、近道になったように思います。
暑い中、劇場に足をお運びいただいたお客様、クラウドファンディングにご協力いただいた皆様、三田村さん始め関係者の皆様、この公演を支えてくださったすべての皆様に感謝します。
私にチャンスを与えていただき、貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。
またどこかでお会いできるのを、楽しみにしております!