青年団『上野動物園再々々襲撃』

こんにちは!

昨日12日(金)は青年団公演『上野動物園再々々襲撃』サザンシアターに行ってきました。
この作品は1987.6.4~9までスズナリで“中村座”創立20周年記念公演第2弾として上演された、故 金杉忠男 台本・演出を原作として、平田オリザが脚本、構成、演出をしています。
そして、2001年春、利賀山房、東京シアタートラムで上演された初演は第9回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞しています。

この作品は、ボクにとってとてつもない演劇人生の分岐点でもありました。“アングラの化石”と流山児祥に言わしめ、ストイックに小屋芝居を(大崎“中村座”江戸川橋“中村座”高田“中村座”)続けてきた中村座が20年かけて“スズナリ”に出ていった芝居でもあり、アングラがアングラであるための、最後の力を振り絞った芝居でもありました。
そしてこここから、2年間以上も金杉さんの語り合い、そして最後には会話も途絶え、1990年、中村座は解散するのです。

平田オリザが金杉さんの何と共鳴し、何を引き継ごうとしたのか少しわかりました。
そして、平田オリザを通じて、夫婦よりも長い時間を共にしてきた金杉さんが、当時何を思い、何に行き詰まって、どこに道を見つけようとしていたかわかった気がしました。
そして、それはやはりボクの今の演劇感とは相容れなかったことも。
色々なことが解けてきた気がします。

平田オリザの文章から引用すれば

「アングラはすでに、時代に相対化された」とあっさり言い放ち、自らの演劇論を大きく転換し、新しい演劇の様式の更なる模索をはじめたのだ

とあります。

ボクは「アングラ」相対化される必要はないし、「アングラ」も大きな演劇の中の大切な要素だと考えています。
今も有効な楽しい使用のされ方はたくさん残っています。

この話は、語るべき事ではなく、ボクがこれから残りの役者人生の中で、舞台上で提示していく問題であると考えます。

さて、理屈は理屈。お芝居の方は色々な意味で嬉しく、懐かしく観ましたが、やはり舞台としてはつまらない。観ていてハラハラドキドキしない、人間関係が予定調和に満ちている。とても長く感じられました。

そして、役者さんで言えばやはり大崎由利子は何をやらせてもキレが良い。あと、後輩の先生をやる門田孝史さんが好きでした。吉田忠男の妻をやる馬場睦子さんもステキ。
あとボクの好みですが、この芝居においては、志賀さんのあまりにもいい声がイヤでした。(志賀さんは好きですが)

まあ、この20年間のことを考えるためにとても参考になりました。そして今後何をしたらいいかと言うことも…。

今日はちょっと難しい個人的な演劇感みたいなことを語ってしまいました。
ゴメンナサ~~~イ!

金杉忠男プロフィール
1940年、東京生まれ。劇作家・演出家。舞台芸術学院卒業後、1967年演劇集団「その他の人々」結成。1971年劇団「中村座」と改名、90年の解散に至るまで全作品を作・演出する。1987年『上野動物園再襲撃』をザ・スズナリで初演。この年より舞台芸術学院講師をつとめる。1991年、金杉忠男アソシエーツ結成。
アングラ以降の劇スタイル、都市に生きる人間の〈イメージの劇〉を構想。シニア芝居『POOLSIDE』で見事に演劇的な転成をとげる。代表先に『四ツ木橋自転車隊』『舞踏会の手帖』『胸騒ぎの放課後』など。
著作に『金杉忠男戯曲集1~3巻』『グッバイ原っぱ』など。1997年11月逝去。享年56歳。
青年団パンフレットより引用

2006-05-13 | Posted in ブログNo Comments » 

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